Traditional Music session in Ireland

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そしてアイルラン音楽のセッションについての続きです。

代表的な演奏スタイル

アイルランドでは地域ごとに少しずつ異なった演奏スタイル(グルーヴ感)があります。日本では、セッションによって、また人によって、これらのスタイルのいずれか、ないしミックスされたものがそのスタイルとなります。(場合によっては盆踊り的グルーヴになってしまっていることも。。。)

 

Connaught (コナハト) style
Sligo(スライゴー)やMayo(メイヨー)、Galway(ゴールウェイ)などの町が含まれる地域です。
早いテンポで、スイング感を比較的しっかり付けて、流れるように演奏するのが特徴です。フィドルの場合、弓を長く使い、指でのロールを多用します。Michael Coleman, Kevin Burke, Matt Molloy, Dervishなどがこの地域を代表するミュージシャンです。

Donegal (ドニゴール) style
アイルランド北西部の地域です。スコットランドの影響が強く歌やスコットランドの曲もよく演奏される地域です。
早いテンポで、ビートを刻んでいくような演奏が特徴です。フィドルで言えば、弓を短く使い(細かく弓を返し)、弓でのロールを多用します。John Doherty, Tommy Peoples, Altanなどがこの地域を代表するミュージシャンです。

 

Clare (クレア) style
クレア州のスタイルです。比較的ゆっくりしたテンポで抑揚とスイング感を付けて演奏されるのが特徴です。代表的なミュージシャンはMartin Hayesなど。ダンス(ケーリーCeili)の文化が盛んでTulla Ceili Bandが有名です。ダンス用の演奏はセッションでの演奏より速いテンポで行われます。

Fermanagh (フェアマナ) style
イギリス領北アイルランド内フェアマナ地方のスタイルです。Keshなどの町がこの地域に含まれます。比較的抑揚を抑えて、流れるように演奏されるのが特徴です。

スライゴー、クレアのスタイルなどがスイングがしっかりついているので、初心者にもアイリッシュ独特のノリを聴き取りやすいかもしれません。これらに耳が慣れてくると、より抑揚を抑えた、ミニマルな感じの演奏のグルーヴを感じ取ることができるようになり、楽しみに深みが出ます。

演奏しない方へ

アイルランド音楽は耳で受け継いでいく音楽ですから、演奏せずに聴くだけというのも、音楽を共有する手段としてとても重要です。興味がある方はぜひ、かぶりつきで聴いてください。
その際、リズム楽器の項でも書いたことですが、旋律に内包されるリズムが感じられるようになるまでは手拍子や合いの手は控え目にしていただけると演奏者は演奏しやすいです。
もちろん、いい演奏には惜しみない賛辞をよろしくお願いいたします。音楽好きな聴衆がいるとミュージシャンも俄然やる気が出てきますので。

パブに行くのは敷居が高い!という方

昨今、いろいろなアイルランド音楽愛好団体が結成されています。
だいたいどこも小さなコミュニティな分、アットホームでニューカマーにやさしい事が多いです(客商売でやってるわけではないので「サービス」を期待されると困りますが)。
そういうサークル・同好会の輪に最初顔を出して、連れ立ってセッションに行ってみるのもいいかもしれません。

アイルランド音楽文化を理解する助けになるリンク

ブラックバードミュージック
以下のブログにはとてもよい記事が沢山あります。特にリンク先の記事には聞くことの重要性、聞き方の重要性がとても良く書かれています。

http://blackbirdmusic.blog.fc2.com/blog-entry-31.html

町田佳菜子さんの卒業?論文
アイリッシュアコーディオン奏者の第一人者でもある町田さんによる論考「アイルランド伝統音楽における共在性―会うことと得ること」。

http://www.apa-apa.net/~jinrui/soturon/paper/machida.pdf

最後に

音楽的なことばかり書きましたが、セッションは音楽を通した「交流の場」です。
いつもの顔なじみと、新しくであった人と、交流を楽しみましょう。
それがセッションの根幹です。

参加者の体調、気分、場所の雰囲気等が複雑に絡まって、全てのセッションは一期一会です。録音では味わえない、この生の音楽の儚さ、それが故の一期一会にかける情熱をぜひ味わってみてください。ぱっと見、お祭り騒ぎのような賑やかなセッションが初心者には印象的に映りがちですが、少人数で静かな訥々としたセッションの味わいもまた格別なものです。(ここだけの話、ミュージシャンと仲良くなるには、人数少なくてぱっと見寂れたようなセッションの方がチャンスですよ。)

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